遺言〔TESTAMENT〕

自筆証書遺言書
法務局における自筆証書遺言書保管制度
公正証書遺言書



 

自筆証書遺言書
 自筆証書遺言書は、遺言者が、日付、氏名、財産の分割内容など等全文を自書(自ら書くこと。)し、押印して作成します(民法第968条第1項)。※【日付】については後述します。

  メリットは、
〇手軽に作成できること
〇費用がかからないこと
が挙げられますが、

 デメリットは、
〇文意不明、形式不備等により無効となるおそれがあること
〇遺言の紛失・隠匿・偽造のおそれがあること
〇遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければならないこと(自筆の遺言書が、確かに遺言者の筆跡であるかどうかなどを確認します。)※【検認】については後述します。
があります。そしてなにより、
〇発見してもらえないおそれがあること
です。

【検認】
 検認については、裁判所のウェブサイトの「遺言書の検認(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html)」を引用してご案内します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー引用始まり
 「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

 検認の手続は,通常は以下のように行われます。
①  検認の申立てがあると、相続人に対し、裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知をします。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われます(申立人には、遺言書、申立人の印鑑、そのほか担当者から指示されたものを持参していただくことになります。)。

②  検認期日には、申立人から遺言書を提出していただき、出席した相続人等の立会のもと、裁判官は、封がされた遺言書については開封の上、遺言書を検認します(封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。)。

③  検認が終わった後は、遺言の執行をするためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となるので、検認済証明書の申請(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)をすることになります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー引用終わり
【日付】
 日付は、年月日を必ず書かなければなりません。このことについては最高裁判例がありますので、ご紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー引用始まり
自筆遺言証書に年月の記載はあるが日の記載がないときは、右遺言書は民法968条1項にいう日付の記載を欠く無効のものと解するのが、相当である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー引用終わり
事件番号:昭和52(オ)886/事件名:遺言無効確認/裁判年月日:昭和52年11月29日/
法廷名:最高裁判所第三小法廷/裁判種別:判決/
判例集等巻・号・頁:集民 第122号271頁/
法務局における自筆証書遺言書保管制度
 自身で作成した自筆証書遺言に係る遺言書を遺言書保管所(法務局)へ預けることが2020(令和2)年7月10日からできるようになりました。
 以下法務省ウェブサイト「自筆証書遺言書保管制度」
(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html)を部分引用しながらご説明します。

 遺言書の保管申請時には、民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて、遺言書保管官の外形的なチェックが受けられます。
 遺言書は、原本に加え、画像データとしても長期間適正に管理されます。(原本:遺言者死亡後50年間、画像データ:同150年間

そのため,
▶遺言書の紛失・亡失のおそれがありません。
▶相続人等の利害関係者による遺言書の破棄,隠匿,改ざん等を防ぐことができます

メリットは、
〇手軽に作成できること
〇原本は、法務局にて保管されるため、紛失・隠匿・偽造のおそれがないこと
〇家庭裁判所による検認手続が不要なこと
〇遺言者の死亡後、法務局から相続人等に遺言書を保管している旨の通知がなされること
〇保管の手数料は 1 通 3,900 円

デメリットは、
〇文意不明、形式不備等により無効となるおそれがあること(自筆による文書のため。)。


公正証書遺言書
 遺言者自身が、原則として、証人2 人以上(実務上は証人2人)とともに公証役場に出かけ(士業に依頼している場合は、士業が事前に公証役場に遺言書の原案を届けています。)、公証人に遺言内容を口述し、公証人が筆記して作成します。

メリットは、
〇遺言の形式不備等により無効になるおそれがないこと
〇原本は、公証役場にて保管されるため、紛失・隠匿・偽造のおそれがないこと
〇家庭裁判所による検認手続が不要なこと

デメリットは、
〇作成までに手間がかかること
〇費用がかかること

 

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