「人と動物の共生」と伴侶動物(2)

動物の愛護及び管理に関する法律第2条
(基本原則)
第2条  動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
2  何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。

 動物の愛護及び管理に関する法律第2条の構造は次のようになっています。

 第1項は、
動物が命あるものであることにかんがみ、
「何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないように」
するのみでなく、
「人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うように」
しなければならない。

 第2項は、
何人も、動物を取扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、
「適切な給餌及び給水、必要な健康の管理」
並びに
「その動物の種類、習性等を考慮した飼育又は保管を行うための環境の確保」
を行わなければならない。


 第2条は、第1条の目的条項を、より具体的に示したものといえます。人と動物でつくる共生社会を実現するためには、動物の種類、性格、生理、習性などをよく知り、相手(動物)の立場に立って、住む環境を形成してほしいと捉えられます。
 以下は、わたくしとわたくしのパートナーキャットについて述べます。
 わたくしはメスのアビシニアンと暮らしています。遡ること12年ほど前、猫と暮らすことを考えたわたくしでしたが、当時は猫の知識はなく、猫の飼い方の実用書をいくつか読み、少しずついろいろなことを覚えていきました。そうして、わたくしの性格、生活スタイル、猫の種類、性別などを考え合わせ、アビシニアンのメスを探すことにしました。1年ほどを経過したある日、パートナーキャットとなるアビシニアンのメスの仔猫と東京都中野区のキャッテリーで出会ったのです。
 さて、このプロセスは、人の家族でいうなら、初めての赤ちゃんを家族に迎え入れるときに、母親教室(両親教室)などで、妊娠・出産・育児について、必要な知識や技術を学ぶことと違いはないことが分かると思います。猫がふだん歩くところに危険なものを置かない、猫がなめたり、口にしたりしたら危険なものは、猫がとどかないところに置く、といったことは、赤ちゃんや乳幼児に対することと変わりません。相手の「性格、生理、習性などをよく知り、相手の立場に立って、住む環境を形成」していくことがお互いを尊重し合うということの一つの表れではないでしょうか。
 ペットと人間が社会で共存するために必要なことというのは、人どうしがいっしょに暮らしていく際にも大切なことです。わたくしはこのことを、いっしょに暮らしているパートナーキャットから教えられました。ペットショップの店先で一目ぼれし、衝動飼いする前に、猫や犬はもちろん、それぞれの種類によっても、気質や特性が大きく変わることがあることを知っておくこと。これは、相手を知ること、心から相手のことを考えること。そこから互いに信頼が生まれ、たしかなきずなを感じながら、いっしょに暮らしていける。そのような社会がペットと暮らすことから始まればとただただ願うばかりです。

(次回に続きます。)

2015年12月30日