TPP11協定の発効に伴う著作権法の改正(3-2)

TPP11協定が発効し、2018年12月30日から施行されます著作権法の改正事項のうち、今回は、著作権等侵害罪の一部非親告罪化(著作権法第123条第2項及び第3項関係)についてご説明します。

「TPP11協定の発効に伴う著作権法の改正(3-1)」でお話いたしましたように、TPP11協定とは関わりなく、「技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置やプログラムを公衆に提供する罪(著作権法120条の2第1号)」、「業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行う罪(著作権法120条の2第2号)」、「著作者、実演家の死後において、著作者人格権、実演家人格権の侵害となるべき行為を行う罪(著作権法120条)」、「引用の際の出所の明示義務違反の罪(著作権法122条)」については現状でも被害者の告訴を経ることなく公訴を提起できる犯罪(非親告罪)となっておりました。

TPP11協定の発効に伴い非親告罪化する罪とは、次のすべての要件を満たす場合に限って対象となります。
(1)対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的があること
(2)有償著作物等(有償で公衆に提供又は提示されている著作物など)について原作のまま譲渡・公衆送信又は複製を行うものであること
(3)有償著作物等の提供・提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されること

これでは少しわかりにくいですね。著作権等侵害罪が一部非親告罪化される行為について国が作成した資料の内容を本稿末尾に掲載し、著作権等侵害罪の一部非親告罪化についてのご説明を終えることとします。

非親告罪となる侵害行為の例 親告罪のままとなる行為の例
販売中の漫画や小説本の海賊版を販売する行為 漫画等の同人誌をコミケで販売する行為
映画の海賊版をネット配信する行為 漫画のパロディをブログに投稿する行為
2018年12月03日